南部希実の気ままブログ

長崎在住南部希実のブログです。海外のニュースを中心に、映画や食べ物など、色々英語と絡めて書いていけたらと思います。

【映画】再会の街で

movies.yahoo.co.jp

 

【評価】星4つ(星5つ中)

 

【あらすじ】

キャリアと愛する家族に恵まれ、誰もがうらやむ順風満帆な人生を送るニューヨークの歯科医アラン(ドン・チードル)。ある日、彼は911の飛行機事故で妻子を亡くし、消息がわからなくなっていた大学時代のルームメート、チャーリー(アダム・サンドラー)を街で見かける。元歯科医のチャーリーは、今や世捨て人のような生活を送っていて……。

 

【感想】※ネタバレを含みます。

個人的には、今年1番心に残った映画になるかもしれない作品。

まわりから見れば、仕事も家庭も充実しており、なんの非の打ち所もなさそうな人生を過ごしていながらも、心の中に孤独感を持ち続けている歯科医アラン(ドン・チードル)と、9月11日のテロにより家族を失い、その慰謝料により生活には困ってはいないが、心を壊し、世捨て人同然の生活を送っているチャーリー(アダム・サンドラー)の友情を描いた作品。

 

作品の原題は「Reign over me」、直訳すると「私に対する支配」といった題名になる。「Reign over me」は、世界的パンクバンド「Love reign over me(愛の支配)」からとっているようで、作中で何度もチャーリーがこの楽曲を口ずさむシーンがある。

下記楽曲を聴いていただければわかるかとおもうが、原曲自体も、愛を失ったとき、人がもつであろう悲痛な感情が伝わってくる。

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印象的だったシーンをいくつかあげていく。

1.亡くした妻の両親に対して、チャーリーが家族を失った悲しみを吐露するシーン

 

このシーンは、故妻の両親vsチャーリー間の裁判後、義両親が「常に持っている。」と発言し、法廷で公開した亡き妻・子供たちの写真をチャーリーが直視できず、退廷させられた後に演じられる。

チャーリーは、「自分が家族のことを一瞬たりとも忘れられない。」といった気持ちを、写真を持ち歩くことなどではなく、「まだ街中で彼女の顔を見る。街を歩いていると、見知らぬ誰かの顔が彼女たちの顔になって目の前に現れてくる。飼っていた犬はトイプードルなのに、大型犬でさえ、それがトイプードルとして自分の目の前にうつる。僕には写真を持ち歩く必要はない。だっていまだに彼女たちが町中にいるんだ。」と、いう言葉で表現する。

今まで、家族を失った者の悲痛を表現する上で、このようなせりふは聞いたことがなかったので、とても驚いた。と、同時に、きっと彼の立場にたてば、自分も同じような苦しみに必ず会うだろうと心のそこから納得するセリフだった。

上記発言を義両親に伝える前に、チャーリーが何度も伝えようか・伝えることを諦めようか迷うシーンがあるのだが、そのシーンも彼の優しさや、恐怖、悲しみの深さを感じることができ、物語の大きなテーマを伝えるシーンとなっている。

邦題の「再会の街で」も、「友人アランとの再会」のみでなく、「家族と再会してしまう」と、いった意味もこめられているのではないかと思った。

 

2.映画のラストで新たな希望を感じさせるシーン

この映画では、チャーリーは完全に悲しみから抜け出すことはないが、ラストシーンでその兆しは描写されている。

物語の最後、チャーリーの部屋で、チャーリーが「あんなに美しい女はトラブルでしかない。」と、発言した女性をチャーリーがソファに座りなおすふりをしてチラチラ見るシーンが描写される。このシーンによって、視聴者は、チャーリーの回復の兆しを感じ、少しばかり暖かい気持ちで映画を見終わることができる。

というか。。。このシーンがなければただただ悲しいだけの映画となり(実際にそれが現実の人が本当に多いのだとは思うが)、チャーリーに関しても、アランの「友達を助けたい。」という願望に対しても、まるで救いがない映画となってしまうのだけども。

 

3.おもむろにチャーリーが娘のことをアランに語るシーン

このシーンが泣けるんですわ。。。。

精神科医とのセッションでも本音をまるで言わないチャーリー。数回目のセッションで、リヴ・タイラー演じる精神科医

 

「私じゃなくてもいい。けど、誰かにあなたのことを話さないと、あなたは前に進めないわよ。」

 

という言葉を投げかけられるチャーリー。

チャーリーは激昂し、「もう出てもいいか?」と、精神科医の部屋を出て行く。

待合室でおもむろにアランの隣に座るチャーリー

雑談をしようとするアランをよそに、チャーリーは自分の娘と奥さんについて語り始める。。。

本当につらい時、苦しいとき、ただただ聞いてくれるだけが1番ありがたいんだよね。

初めてチャーリーが自分の心の傷と向き合うシーンなので、つられなきしてしまった。。。

 

 

心の傷は、生きている時間さえも止めてしまう。

心が壊れてしまっては、生きている世界も、死んでいるのと一緒だろう。

私も心が壊れそうだったとき、助けてくれた人がいて、その人のおかげで、今もこの世界で何かを模索できていると思う。

私も誰かの心の支えになれる日が、なれていたらいいな

 

それにしても、リヴ・タイラーアルマゲドンぶりに見たな。。。。