【映画】ペイ・フォワード
今更ですけど、みましたっっっ
評価:星3.5
一言でいうと、救いのない映画でした。ハッピーエンドの映画しか見たくない!!という方にはおすすめできません。
物語のあらすじとしては、オスメント君演じる11歳の少年トレバーが、新任の先生より「何か世界を変える行動を起こせ。」という課題を与えられる。
その課題を与えられたことにより、トレバーが思いついたプロジェクトが「ペイ・フォワード」。他人から受けた厚意をその人に返すのではなく、自分の周りにいる別の人に贈っていくというもの。
そんな彼の考えたプロジェクトが、世界に小さな奇跡を起こしていく・・・。という物語。
以下はネタバレとなります(数行空けます。)。
書くよっっっっっ
このトレバー少年はなんとも家庭環境に恵まれない。父親は家を出ていき、母親はアルコール依存症気味。出て行った父親をひきずったまま、飲み屋で生計をたてる日々。トレバー少年は、この世界がくそだと思っていた。
そんなところで、ケビン・スペイシー演じるシモネット先生より「世界を変える行動を起こせ。」という課題を与えられる。
トレバーは自分が「ペイ・フォワード」する人間を3人選ぶ。
1人は麻薬依存のホームレス
1人はシモネット先生
そして、最後の1人は自分のお母さんだった。
トレバーの最初に起こした行動は何ともかわいらしく、子供らしく、「ホームレスにお金と食事を与え、社会復帰させる。」といったもの。
しかし、彼の最初のターゲットは一時的に善人としてやり直そうとするものの、また麻薬を使い、堕落してしまう(最後、トレバーの知らないところでまた立ち直る。)。
トレバーはショックを受けながらも、ノートに記載したホームレスの名前をばってんで消し、次なるターゲットに向け、努力奮闘する。
この努力がなんともかわいい。
嘘の手紙でシモネット先生を家に招いたり、ディナーの準備をし、お母さんとシモネット先生を引き寄せる。
トレバーのお母さんに対する行動を見ると、やはりどのような環境に生まれても、自分のお母さんのことはなかなか嫌うことができないのが子供であると思う。
折り合いの悪かったトレバーとお母さんであったが、トレバーの家でをきっかけに二人の仲も修復し始める。
トレバーのお母さんが、家出したトレバーに対し、涙ながらに謝るシーンはこの映画の一つのみどころであると思う。
お母さんだって普通の人間であること、間違いを犯すこと、それでも真摯に向き合えば、子供が親を見放すことはありえないこと。
言葉自体は多くないシーンだが、トレバーとお母さんが見つめあう数秒の沈黙、その後抱き合うシーンで彼等の関係性の修復を表現したことは監督の手腕であると思う。
この映画の本当に悲しいところは、トレバーは自分の願いが叶った場面を見れずに死んでしまうというところであると思う。
彼のプロジェクト「ペイ・フォワード」は実際に映画の中で成功している。
最初に失敗していたと思ったホームレスは、麻薬を断ち切り、自殺しようとしていた女性を救う。
シモネット先生と、トレバーのお母さんは、トレバーのインタビュー後、仲を取り戻す。
トレバーだけが、その事実を知らないまま死んで行ってしまう。
「うまくいかない。」という言葉に、彼の気持ちのすべてがつまっていると思う。
この映画を見て思うことは、「なぜ世界は平和にならないのだろう。」ということだ。
ペイ・フォワードのように、一人ひとりが他人を思いやり、他人に対して善い行いをし、その行いを連鎖していけば、間違いなく、今より暖かい気持ちで日々を送ることができる人は増えると思う。
それにも関わらず、人はなかなか正しいことはできない。
人は弱く、自分の気持ちが沈んでいるときは他人に優しくなどなかなかできない。
それでも自分と、自分の周りの人ができるだけ幸せな世界になってほしいと思う。
人に善い行いをしようと考え、行動する人が増えれば、ほんの少しでも世界はいい方向に動くと思う。
私はそんな世界に来てほしいし、自分が住むならそんな世界であってほしいと思う。
誰だって自分と同じように生きている。自分と同じように感情がある。
この世界は自分ひとりのものではない。
どんなに現実が残酷でも、現状が最悪でも、善くあることをあきらめてはいけないということを、私はこの映画をみて強く学んだ。